俺はお前たちに強い気持ちでプライドを持ってもらいたい

「弱くても勝てます」
5話と6話を見るとこのタイトルが改めて心にしみました。
どうしたら弱くても勝てるのか。
このドラマは、そのセオリーを探っては検証して実践してはまた探っていくものだけど、野球に限らず、学校生活での人との関係や、叶えたい夢や目標に向かうことだったり、仕事だったりでのそれを描こうとして、なおかつ実践しているドラマ。分かりやすく数字を取れる演出ではなくて、スタンスを変えないこのドラマ自体が弱くても勝ることに挑んでいると思う。
そもそも青志が野球部を辞めたけど野球がずっと好きなことも、もともと先生ではなくて研究者になったけど研究から外れるしかなくて先生になったことも、弱くても勝てることを描くための設定だと思う。

それを表しているのが5話での青志先生の言葉。
「何をするにしたって、初めから結果がわかってるなんてことは、ほとんどありませんからね。生きていくってことは、仮設と実験の繰り返しなんですよ。」
「生きていく」のところに様々なことが置き換えられると思う。
それから、野球部が初めての試合で負けたあとのプライドの話。
「弱いから強くなるんじゃないんだよ。弱いまんまで勝つんだ。」「勝ったからプライドを持てるんじゃないんだよ。そんなもの次負けたら簡単に崩れ去る。初めからプライドを持ってる奴だけが勝てるんだよ。だから俺は、お前たちに、弱い気持ちで持つんじゃなくて、強い気持ちでプライドを持ってもらいたい。」
ここは、ドラマを作っている側の人たちのプライドを青志に語らせているようにも感じて…(涙)。

そしてこのプライドの話が6話で生きてくる。プライドの話だけではなく、これまでドラマを形作ってきたストーリーやセリフや登場人物たちの設定が生かされたり、伏線となって少しずつ回収されたりしてとてもおもしろくなってきた。6話では、青志の退部と亀沢の退学を重ねて描いたり、文化祭の劇の中で亀沢が演じる役を亀沢本人に重ねたり、劇中の義両親と亀沢の両親の想いも重ねっていたりして、こういう描き方にとにかく私は弱くて、好きだなーすごいなーって思いながら見た。文化祭の劇に「女殺油地獄」って何でよ…と思っていたけど、亀沢の置かれた環境と、亀沢自身と、亀沢の両親を話の中で重ねられる作品が選ばれたんだって、本当に感動しました。(あと、教室の劇の設営が細かくて好きw)
特に、青志の退部と亀沢の退学については、青志は退学には反対だと言いながらも止められないと思っていたはず。楓さんが「あの頃とは正反対の確信に満ちた顔してる。」と言っていたとおりの今が青志先生の中にはあるから、青志は璃子に好きなものを捨てたあとに先に進めたかと聞かれて「それを言うと亀沢にどう接していいか分からなくなる」と言っていて。劇で亀沢が「受け取れない」と言っていたときの青志の表情。口元が微笑んでいて満足そうに見える。亀沢が教室から出ていくときは仕方ないなって、こうなることを分かっていたように見える。青志も野球部を辞めるとき、辞めたあとに通った道だから。

で、これだからね、この表情の演技ができるから!だから好きなんだよーーにのの演技ー(涙)。ってなる。
他にも、亀沢がひとりでバッティング練習している、「まるで最終打席だな」のシーンとか。6話はにのの表情の演技が冴えわたっていて!チャプター数がたいへんなことになりました。
さらににのの演技でいえば、ちゃんと先生らしく見えてきたと思う。新任の先生だから、最初は先生ぽく見えなくて当然、赴任して二か月が経って、ようやく先生らしくなってきた。そういうところまでドラマの話もにのの演技も作りこまれていて震えます…(涙)。
ちゃんと先生になってるよにの。
改めて本人の等身大の役って本当に嬉しい。永遠の17歳って言われるのもう嫌だったんだよー(どさくさw)

6話で重ねるといえば、青志が脚本を書いているところで本人と重ねてしまった。
書いている手がアップになって。それがにのの手で、にのの字で(当たり前だが)。
あなたがそうやってノートに書きためていた小説や脚本は今どこにありますか。
陽の目を見ることのなかったそれをまだ残していますか。
って泣きそうになった(感情迷子)。
青志とにのちゃんってちょっと似ているところがあるよねって思っていたけど、そんなこんなで6話ですっかり重なってしまいました。等身大の役って嬉しいなー(2回目)。はー。楽しい!(結局)

このドラマの中でどうにかならないのかと最も気になっていた璃子のこと。4話くらいまではただのウザイ人としか思えなくて。璃子には青志の引き出しになってなおかつ対等になってほしいって。璃子が青志と同じ方向を見据えて、一緒に考えるシーンが少しあるだけでだいぶ違うのになって。そういう意味では、ようやく真剣に城徳野球部に向き合って、少し青志と心を同じくしてくれたように見えてよかった。
それとは別で単純に青志と璃子のやりとりが大好きなんだけどね。青志の変人ぶりが炸裂☆って感じでw青志の部屋でのシーンは本当笑ったー。ただ、あのあと、璃子が目覚めて「何かしましたか!」「するわけないでしょう!」というやりとりがほしかったなー(笑)。

ジョンの連載に関するあれこれで書きたいことがあったのだけど、今日7話なのでとりあえずここまで。書きたいことがたくさんあって追いつかない…。