2013年8月の読書

6冊すべて小説。

モンゴメリの「青い城」はよかった。これを読んだ後、もしも余命1年だったらこれからやりたいことについて考えてみると、思いつくけど、思ったより少なくて、しかもどれも大したことではないような気がした。
でも、大したことではないけれど、私にとってはきっとすごく大切なことのような気もした。
そもそもやりたいことなんて普段考えていない。私が考えているのは、やらなきゃいけないこと、そうした方がいいことで、やりたいことなんてほとんどない気がして、ちょっとずつ増やしていきたいと思った。

斉木さんの「凍花」には泣かされた。三姉妹の長女が次女を殺害するミステリー。長女の本当の姿と私自身に重なるところが多くて泣けてしまった。と同時にとても自分を客観的に見れた気がする。

ばななさんの「マリカのソファー」も涙ぐみながら読んだ。とても人には言えないような、いつもつきまとっている暗さがむき出しにしてあって、なおかつそれが優しさで包まれている。私は何度も何度もばななさんの小説に救われていると思う。



2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1892ページ
ナイス数:45ナイス

ブリジット・ジョーンズの日記―きれそうなわたしの12か月 秋冬篇
続編の後編。前編よりずっとずっと良い。ジュードとシャロンとの関係、お母さんとの関係、マークとの関係。くっついたり離れたり、こじれたり深まったりといろいろあったけど、どの関係もとても素敵だった。特にお母さんとのカラーミービューティフルでの会話が好き。「やっぱりあなたは<春>だと思っていたわ」って似合う色の話なんだけど、いい台詞だと思う。日記だから明け透けなのは当たり前なんだけど、最後は本当にありのままにマークにぶつかっていけてよかった!ばんざーい!
読了日:8月2日 著者:ヘレンフィールディング

自負と偏見 (新潮文庫)
慣れるまでは読みづらかったけどすごくおもしろかった。身分が低い者を見下すダーシーと、ダーシーに偏見を持つエリザベス。数々のすれ違いと困難を乗り越えて、自分の過ちに気づいて成長する姿が素敵だった。ダーシーがエリザベスに求婚してからはずっとハラハラドキドキそわそわ。王道のラブストーリーだけど、オースティンの持ち前の観察眼の鋭さが陳腐なそれにさせていないのだと思う。そして200年前も今も、国が違っていても、ガールズトークの中身も男女の恋愛模様も大して変わらないんだと可笑しくなった。BBCのドラマが見たい!
読了日:8月20日 著者:J.オースティン

■虹
再読。これまでもちょくちょく読み返してはいたけど。いくつもの夜を越えて、今の悠仁があるんだと改めて思った。繊細で傷つきやすく、不器用でも、だからこそ優しくなれることを悠仁を見ていると感じる。一生大切にしたい本。
読了日:8月23日 著者:北川悠仁

■青い城 (角川文庫)
モンゴメリの大人向け小説。母親や親戚に抑圧され常にびくびくして生きてきた29歳でオールドミスのヴァランシー。余命1年の宣告を受けたことをきっかけに、自分のために生きることを決意した彼女の行動は大胆で爽快。誰にも縛られず、自らの意思で行動する(結婚も自らが決める!)彼女が、次第に見違えるように美しくなって輝いていくことがこちらまで嬉しくなる。そして王道のシンデレラストーリーを、カナダのマスコウカ地方の美しい自然の描写、散りばめられた伏線、言葉遊びのユーモアが彩っている。本当に素敵なお話だった。
読了日:8月25日 著者:モンゴメリ

■凍花
三姉妹の長女百合が次女梨花を殺してしまう。三女の柚香は、なぜ百合が梨花を殺したのか探るうちに百合が抱えていた心の闇を知ることになる。まさに三姉妹の長女な私は、百合の気持ちに分かる部分が多くて、百合を自分に、梨花と柚香を私の妹たちに重ねてしまって、ラストで涙が止まらなかった。真面目でまっすぐすぎて不器用でプライドが高い長女とその家族の悲しすぎる話。「生きるってことそのものが、欠けたり傷ついたりしていくこと」柚香のこの言葉がよかった。人の一面だけを見て、その人そのものだと判断してはいけないと改めて思った。
読了日:8月25日 著者:斉木香津

■マリカのソファー/バリ夢日記 (幻冬舎文庫―世界の旅)
傷つけられ多重人格になったマリカとジュンコ先生のお話「マリカのソファー」。ばななさんが多重人格を描くとこうなるんだって、とても優しかった。別人格たちが徐々に消えていって、ついにマリカが愛し愛されたオレンジも消えてしまう。マリカはもうマリカから出られない。それが生きていくということ。出られないからこそ外から触れて愛してくれる人がいることを感じられる。あたたかい気持ちになった。旅エッセイ「バリ夢日記」は、ばななさんのスピリチュアルな体験に驚く。力を抜いて自然を感じながら過ごしたら、こんな体験ができるのかな。
読了日:8月29日 著者:吉本ばなな

読書メーター
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