2013年4月分

ゴールデンウィークがとても楽しくて思い出いっぱいになったので、4月のことがずいぶん前のように感じる。けれど、振り返ってみると4月は本を読みながらたくさん泣いたのだった。
読みながら、嗚咽がでるほど泣いたのは久しぶりで。
バスの中で、涙が止まらなくなると確信して読むのを止めたのは初めてだった。

レ・ミゼラブル」はとても難しかったし、読み終わっても正直よく分かっていないことがたくさんある。それでも、そこにいる人たちの人生に感動した作品だった。全巻読みきった自分にも感動してる(笑)。
読書メーターで、1巻を読み終わったユーザー数と、2巻のそれとは倍の差があって。2巻から5巻までのそれはあまり大差がない。だから、1巻を読み終わったひとの半数しか2巻以降を読んでいないのかなと思ったり。たしかに、読むのがしんどいのは、1巻の最初(司教の話)と、2巻の最初(ワーテルローの戦い)と中盤(修道院の歴史)だった。それらはもう読みとばしていいから!と、もし誰かにこの本を勧めることがあったら伝えたいと思う(笑)。そこで読むのを止めるのがとてももったいないくらい、感動するからって。

勧めれるような相手が今のところいないけどね。←

それから「彼女について」は、ばななさんの本の中でいちばん好きな作品かもしれない。
レ・ミゼラブル」の最終巻よりも泣いた。この本の内容を思い返すと今でも涙がでてくる(と打ち込んでいる間にも泣いている)。悲しくて泣いてるんじゃなくて、うまく言えないけど、私が知ってる世界の中で最も優しい一冊で、その優しさの深さと広さに涙が止まらなくなる。
ばななさんのお話は、主人公の生活が現実離れしているところに少し抵抗を感じることもあったけど、この本の主人公もたしかにそうだけど、そこにはっきりと理由があることもこの本が好きな理由のひとつ。

やっぱりすごいなー、ばなな作品。とあらためて思った。

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1480ページ
ナイス数:68ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/5054/matome?invite_id=5054

■彼女について
過去に悲惨な事件で両親を失ったことにより深く傷つき、その傷から目を反らしてきた由美子が、久しぶりに会ったいとこの昇一とともに過去を見つめる旅に出る。今までのばななさんらしくないと感じる展開と結末はとてもつらいけれど、由美子が幸せだった時のこと、愛されていたことを思い出せて本当によかった。最後に由美子を救う描き方に大きな優しさにを感じる。私が今まで読んだ本の中で最も優しい一冊だと思う。由美子がひとつずつ丁寧に幸せを取り戻す様子は、日々の積み重ねの中に命の喜びがあるのだと教えてくれている。
読了日:4月4日 著者:よしもと ばなな

レ・ミゼラブル (4) (新潮文庫)
第四部「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」。ようやくマリユスとコゼットが結ばれたのも束の間、マリユスは革命の波にのまれていく。それぞれの愛が交錯して運命の歯車が少しずつずれていく様が哀しく切ない。特に、愛するコゼットの想いを知ってコゼットを失う不安に陥りマリユスを憎悪するジャン・ヴァルジャンの心理描写が巧い。流石。どんなに改心し愛しても影は消えない。そう言われているようで苦しかった。「この世には、幸福な人など存在しない。人間の真の区別はこうである。輝く人と、暗黒の人」「光は涙の中に生まれる」
読了日:4月17日 著者:ユゴー

■フット&ブレインの思考法 日本のサッカーを強くする25の視点
見たいのに見れないテレ東の番組「FOOT×BRAIN」の内容を厳選しまとめた本。日本のサッカーを強くするというテーマのもと、「戦う人」「支える人」「育てる人」「見守る人」という切り口でサッカーを多角的に検証している。どの視点も興味深く面白かった。特に通訳やレフェリー、ホペイロなど裏方の話や、クラブ経営に纏わる話は普段あまり耳にすることがなく新鮮だったし、これから試合ひとつとっても見方が変わりそう。サッカーを大事にしているマジメなこの番組が全国で見れるようになってほしい。
読了日:4月19日 著者:テレビ東京 FOOT×BRAINプロジェクト編

レ・ミゼラブル (5) (新潮文庫)
第五部「ジャン・ヴァルジャン」。美しく壮大な人間ドラマが、ついにジャンの人生と共に幕を下ろす。結婚式を抜け出したジャンが、大切にしてきた秘密の鞄からコゼットの幼い頃の洋服を取り出して抱き締めるところから涙が溢れて止まらず。人生の全てだったコゼットと離れ離れになってまで、苦悩の末に良心を貫いたジャンの生き方に哀しみと感動が押し寄せてくる。マリユスとコゼットに苛立ちを覚えるのは私の未熟さのせいかな。厳しくて深くて広い、難しい話だったけど読んでよかったと思う。きっといつかまた読み返したい。
読了日:4月27日 著者:ユゴー