2012年12月分

新年早々のエントリも相変わらず読メまとめです。
あけましておめでとうございます。


先月は何といっても、「女子をこじらせて」。これに尽きる。今までの私の不可解な気持ちが解析されていって、眼からウロコがボロボロ落ちてきた(笑)。


結局、昨年は51冊の本を読んだ。今までで一番たくさん本を読んだ一年になった。
そこで、小説部門と小説以外部門に分けて昨年読んだ本の中で好きなベスト3を選んでみた。


【小説部門】
1.「秘密の花園
2.「流星ワゴン」
3.「風に舞い上がるビニールシート」
【小説以外部門】
1.「孤独と不安のレッスン」
2.「ユダヤ人大富豪の教え」
3.「1分間の日記で夢は必ず叶う」


作家名を伏せているのはわざと。一番たくさん読んだ伊坂さんの本が入っていないのが自分でも不思議。どうして入ってこないのか考えても理由は見当たらない。
今年は海外の文学作品を読みたい。翻訳ものが苦手だし内容が難しいので一冊読み終わるのに時間がかかりそう。だから今年は読める量は少なくなるかなと思っている。良い本に出会えるといいな。


2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1717ページ
ナイス数:90ナイス


■月魚 (角川文庫)
幼なじみで古書に魅せられた二人の男のお話。二人が持つお互いへの罪の意識から、お互いに近づくことも離れることもできずにいるその距離感がもどかしいのと、二人の関係性がはっきりとせず漂う妖艶さがなんとも言えない。冷たくて熱い、静かで激しい。不思議なお話だった。そして本当のところ二人はどうなの!という私の下世話な勘繰りは、あとに続く短編のキラキラした夏の光に照らされて消えていったのでした。
読了日:12月5日 著者:三浦 しをん


■秘密。―私と私のあいだの十二話 (ダ・ヴィンチ・ブックス)
ひとつの出来事をふたつの視点から描く12のお話の短編集。A面B面という構成を生かした粋なお話が多くて感嘆。やはりもともと好きな作家さんということもあって、森さんと三浦さんのお話は心あたたまって気に入った。ダーリンと彼女の会話がテンポよかった。全編を通して思ったのは、秘密と嘘はセットであることが多いのかもしれないということ、嘘にもいろんな種類があるということ。中でも阿部さんのお話は優しい嘘だったように思う。
読了日:12月7日 著者:吉田 修一,森 絵都,佐藤 正午,有栖川 有栖,小川 洋子,篠田 節子,唯川 恵,堀江 敏幸,北村 薫


ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)
良書。お金の話だけどあまりガツガツしていなくて、人の縁や一人の人間が持つ可能性の大きさ、運命のような人間の力を越えた働きを信じているところが自分に合っていて心地よく読めた。付箋をいっぱいつけた中でも印象に残ったのは、普段考えていることが現実の人生をつくっているということ、失敗は未来に絶望したときと過去の経験を無駄だったと判断したときに確定するということ、人生で起こることは中立であって良いことも悪いこともないということ。ミリオネアメンタリティも勉強になった。とりあえず、自分の夢を書き出してみようと思う。
読了日:12月14日 著者:本田 健


■あるキング (徳間文庫)
「あるキング」の一生。すごく面白かった。確かにそれまでの作品とは少し趣向が違うけれど、「Fair is foul,and foul is fair」という深く大きい命題に真っ向勝負し、それでいてクスッと笑えるユーモアが散りばめてあったり、随所に仕込まれた伏線とその見事な回収など、伊坂さんらしく、巧いなと唸りながら読み進めた。きれいは汚い、汚いはきれい。そんなこと現実の世界には溢れている。それらを最大限に受け止めてなおかつ昇華させようとしている。だから伊坂さんの作品に優しさを感じるのだと、解説で気がついた。
読了日:12月19日 著者:伊坂 幸太郎


陽だまりの彼女 (新潮文庫)
中学時代を一緒に過ごした二人が10年後に再会して再び恋をするお話。前情報も期待もなく読み始めて、ベタ甘な前半にそれはそれで楽しみながら読んだ。後半から彼女側に不穏な空気が流れ始めて、お涙頂戴の王道でオチるのかと思ったけれど、オチて行き着いたところはファンタジー。動物に興味がないせいか、オチが全くの予想外だったから新鮮。種明かしされたあとに気づけるたくさんの伏線も面白かった。でも現実的な私は浩介の今後が心配で。あまり読後感は良くなかったかな。
読了日:12月25日 著者:越谷 オサム


■女子をこじらせて
女子をこじらせた女性の、こじらせた経緯と過程が幼少期から現在に至るまで赤裸々に語られている。私も完全にこじらせ女子だけど、さすがにここまでではないわーと、中盤では引くくらい相当こじらせていた。最後の、こじらせた自分とどう向き合って乗り越えていくかという部分がよかった。そしてこの本を読んで初めて自分と同じような人がいると知って安心したし、こじらせてるから仕方ないわーって認めているのか諦めているのかは分からないしけど、自分の中の苦しさがかなり軽くなったので感謝してる。「私の屍を越えていってくれ」って格好いい。
読了日:12月30日 著者:雨宮 まみ


老人と海 (新潮文庫)
老人の海との孤独な闘いが描かれたもの。過酷な闘いにたったひとりで、辛抱強く立ち向かう老人の心理描写がとても深く、心に迫りくるものがあった。老人にとって、当初カジキマグロは捕まえるべき敵であったり今後の生活の糧であったりしたのに、孤独な闘いの中でそれが友になり、最後は捕まえなければよかったと思うまでになる。その葛藤がすごく苦しかった。泣いてくれる少年がいてくれて本当によかったと思う。読むたびに込み上げてくる思いが変わりそうな作品。
読了日:12月30日 著者:ヘミングウェイ