2012年11月分

今月はあまり読めなかった。という気がしていたけど、9月10月が異常なだけで通常のペースに戻っただけ。
秘密の花園」がすごく好きで。今まで読んだしをんさんの作品の中で一番好きになった。大げさではなくて、文章の美しさに衝撃を受けた。日本語を言葉で文章で紡げることに感謝と感動を覚えるほど。でも矛盾しているけど、12月からは外国文学を読んでいきたいなと思っています(笑)。桜梅桃李ということでw

2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1108ページ
ナイス数:38ナイス


秘密の花園 (新潮文庫)
カトリック系の女子高に通う那由多、淑子、翠の話。秘密の花園とは彼女たちが通う女子高でもあり、それぞれが抱える心の闇でもあったと思う。誰にも言えない秘密を抱え、閉ざされた世界で孤独を感じ、交わることができない中で、周りと関わってゆく。その中で生まれるそれぞれの感情がとても繊細でとてもきれい。方舟には人間を乗せたい。「言葉を使ってお互いに近づこうとするから」「届かなかった言葉が虚無となっていくら押し寄せてこようと、それでもまだ言葉を重ねたいと思える相手の側にいたい」翠のこの言葉が忘れられない。
読了日:11月3日 著者:三浦 しをん


■チエちゃんと私 (文春文庫)
チエちゃんという他人と一緒に暮らすカオリちゃんの話。カオリとチエの年齢がはっきりと語られるまで、私は2人が20代だと思っていた。まさかアラフォーだとは思ってもいなくて驚いたのだけど、そんな私こそがカオリやチエに向けられる奇異な視線そのものなんだと読んでいくうちに気づいた。周りに理解してもらえない中で、カオリはカオリの、チエはチエの、自分だけの光を感じ取っているから周りが気にならない。誰のものでもない自分だけの宝石。本当は誰にでもあるものだけど、それをちゃんと分かってる2人が心底うらやましくて涙が出た。
読了日:11月6日 著者:よしもと ばなな


■むかしのはなし (幻冬舎文庫)
これほどまでに読後の余韻に心地よく浸りまくれた作品が他に思い浮かばない。それほど思いを馳せてしまう要素が多い。特に、それぞれの話が微妙に繋がっているところや、むかしばなしが生まれるとき語り継がれるときのことを考えると、心にじーんとくるものがある。昔話はどのようにして生まれるかという視点がおもしろいし、それを願いに帰着させている。あとがきで語られていることが、私がしをんさんを好きな理由の全てだと思った。言葉があってよかった。「たどりつくまで」「花」が特にお気に入り。
読了日:11月12日 著者:三浦 しをん


夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
独特な文体に一度は離脱してしまったけれど、気を取り直して読むと名言の引用や言葉の選択が秀逸でテンポよくすごく楽しめた。秋、学祭の章が一番好き。先輩もパンツ総番長もバカバカしくてまっすぐで。「ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ。」ってまぶしい。でもね、黒髪の乙女みたいな女の子なんて現実にはいないと思うよ?(って黒いことを思いながら読むのも楽しかったw)
読了日:11月29日 著者:森見 登美彦